6月23日に発売される『指輪物語:中つ国の伝承』に収録されるカードのうち、コモン限定構築であるパウパーフォーマットにおいて注目のカードを紹介していきます。
カードの紹介の前に新システムである「指輪があなたを誘惑する」についておさらいしておきましょう。
「指輪があなたを誘惑する」の効果が初めて誘発すると、あなたは「指輪」という名前の紋章とその1番上の効果を得ます。また、指輪に誘惑されるたびに上から順に1つずつ効果を得ていきます。
効果の内容は、クリーチャー1体を指輪所持者に指定し、指輪所持者に対して能力を付与していく形となっています。
効果は次のようになっています。
「指輪所持者は伝説であり、自身よりも大きなパワーを持つクリーチャーにはブロックされない。」
「あなたの指輪所持者が攻撃するたび、カード1枚を引き、その後、カード1枚を捨てる。」
「あなたの指輪所持者がクリーチャー1体にブロックされた状態になるたび、戦闘終了時に、そのクリーチャーのコントローラーはそれを生け贄に捧げる。」
「あなたの指輪所持者がプレイヤー1人に戦闘ダメージを与えるたび、各対戦相手はそれぞれ3点のライフを失う。」
白
指輪嵌め
あなたがコントロールしているクリーチャー1体を対象とし、それを追放する。その後それをオーナーのコントロール下で戦場に出す。指輪があなたを誘惑する。
白2マナのクリーチャーを対象に明滅(ブリンク)を行うインスタントです。パウパーにおける明滅といえば《儚い存在》があります。1マナで反復持ちの《儚い存在》を淘汰することはないでしょうが、2マナ明滅の《ペガサスの守護者》の出来事と5枚目以降の明滅呪文の座を奪い合うことになるかもしれません。
ホビットのつらぬき
クリーチャー1体を対象とする。ホビットのつらぬきはそれにX点ダメージを与える。Xはあなたがコントロールしているクリーチャーの数に、あなたがコントロールしている食物の数を足した値に等しい。
クリーチャーの数と食物の数の合計分のダメージをクリーチャーに与えられるインスタント。白には珍しいダメージ型の除去呪文です。同マナには強力な除去である《未達への旅》が存在しています。こちらはインスタントで打てる点がメリットとなりますが、打点が安定しないというデメリットを持っているため差別化は可能ですが、取り回しの観点ではソーサリータイミングとはいえ安定して除去できる《未達への旅》に軍配が上がりそうです。
今は怒りの時、今は滅びの時!
あなたがコントロールしている各クリーチャーの上に、それぞれ+1/+1カウンターを1個置く。ターン終了時まで、それらは警戒を得る。指輪があなたを誘惑する。
全体強化が可能なソーサリーに指輪誘惑のオマケがついています。ターン終了時までの修整ではなく、+1カウンターを置き永続的に強化可能というのが強力で、警戒を得るため攻撃的な指輪の能力とも相性がよさそうです。
青
誕生日の旅立ち
カードを1枚引く。指輪があなたを誘惑する。
青1マナのドロースペルで指輪の誘惑が付いています。むしろ指輪の誘惑にキャントリップが付いているといってもいいかもしれません。現状パウパー界において最も簡単に指輪の誘惑が可能なカードです。1マナで《喪心》への耐性と部分的なアンブロッカブルを付与できるのは非常に強力でしょう。青単や青黒テラー、裏返しコンボなど様々なデッキに投入される可能性があるカードとなっています。とはいえ、ソーサリーである点とドロー呪文としてみるとそこまでパワーのあるカードでないため注意が必要です。
ロリアンの発見
カードを3枚引く。
島サイクリング(1)
青の基本土地サイクリングサイクルはソーサリーのドロー呪文でした。
5マナで3ドローのオマケとしては強力な島サイクリング(1)が付いています。むしろオマケが本体か。デッキの切り直し手段としても有効で《渦まく知識》との相性も良いです。
青黒テラーでは1マナで土地をサーチと墓地のソーサリーカウントを得られますし、《ボーラスの占い師》で実質的に土地を手札に加えられるようになったといってもいいでしょう。
オークの包囲
オーク動員3を行う。その後、プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーはカードをⅩ枚切削する。Ⅹはあなたが動員した軍団のパワーに等しい。
青黒テラーに入りそうな1枚。4マナで最低3枚切削と3/3を並べることができます。《ファラジの考古学者》と比較などで採用されるかもしれません。
黒
いとしいものを取り返す
クリーチャー1体を対象とし、それを破壊する。指輪があなたを誘惑する。
黒ダブルシンボル3マナのクリーチャー破壊+誘惑呪文。3マナでの単体除去呪文は比較的相応なマナコストですが、黒色には2マナ確定除去である《喪心》が除去の枠を欲しいままにしています。しかし、『指輪物語:中つ国の伝承』からは指輪の誘惑による効果によって伝説が付与されるため《喪心》を無効化できるようになり、若干《喪心》のバリューが下がっています。
そのため、このカードも採用される可能性がありますが、同様に3マナで対抗馬となる《損ない》は白黒の混成であり、追放除去である点から除去という面では《損ない》に軍配が上がりそうです。そのため指輪の誘惑というプラスαのバリューがどれほどになるのかがこのカードの今後を決めていくことになるでしょう。
カザド=ドゥームのトロール
カザド=ドゥームのトロールは3体以上のクリーチャーによってしかブロックされない。
沼サイクリング(1)
スーパー威迫ともいえるような効果を持った6/6/5のトロール。
注目すべきは沼サイクリング(1)を持っている点。《死体発掘》を使うことで最速2ターン目に戦場に出すことが可能です。自身の効果と指輪の誘惑効果が相性いいのも高評価でしょう。
ウルク=ハイの狂戦士
ウルク=ハイの狂戦士が戦場に出たとき、指輪があなたを誘惑する。
ETBで指輪の誘惑効果がある3/3/2オーク・狂戦士。実質、パワー4以上にブロックされない伝説持ちクリーチャー。《発掘》で釣り上げることも可能で、リアニメイトデッキへの採用や、白黒ブリンクへの採用も考えられます。《暗黒の儀式》からのターボ指輪誘惑デッキもあるのかもしれない……
赤
角笛城での結集
白の1/1の人間・兵士・クリーチャー・トークン2体を生成する。ターン終了時まで、あなたがコントロールしている人間は速攻を得る。
2マナで速攻1/1を2体生成するソーサリー。MOMで登場した《ラルの援軍》の上位互換のようなカード。
モダンでは人間デッキへの強化として有望なカードのようです。
《炎樹族の使者》と組み合わせることで4点打点が出る点では爆発力がありそうですが、パウパーでは強力な招集や人間シナジーがないため最大限の力を発揮するのは難しそうです。
火の中へ投げ捨てる
以下から1つを選ぶ。
・クリーチャー最大2体を対象とする。火の中へ投げ捨てるはそれらに1点のダメージを与える。
・アーティファクト1つを対象とし、それを追放する。
赤マナ限定の《破壊的一撃》を選択式で内蔵したインスタント。もう一方もクリーチャー最大2体に1点ダメージと有効的な効果。
赤色のデッキで《破壊的一撃》を採用しているならこのカードに置き換えるべきでしょう。フェアリーにも効果的なモード選択ができるのは偉いと言わざるを得ません。
間に合わせの棍棒
この呪文を唱えるための追加コストとして、アーティファクトやクリーチャーのうち、1つを生け贄に捧げる。
クリーチャーやプレインズウォーカーやプレイヤーのうち1つを対象とする。間に合わせの棍棒はそれに4点のダメージを与える。
2マナで4点火力ですが、コストに生け贄が必要なインスタント。赤のデッキでは《ゴブリンの爆風走り》など生け贄とのシナジーがあるカードがありますが、4点の火力呪文には《感電破》が採用されていることも多く、マナを鑑みるとそれを押しのけるほどのパワーは無さそうです。親和デッキにおいてはより《感電破》の金属術の安定性が上がることと、アーティファクトを生け贄に捧げられる強力なツール(《命取りの論争》や《勢団の取引》)が存在しているためリストに入ってくるかは難しくなりそうです。
緑
数々の別れ
あなたのライブラリーから基本土地・カード1枚を探し、公開し、あなたの手札に加える。その後ライブラリーを切り直す。食物・トークン1つを生成する。
1マナで基本土地のサーチと食物トークンを生成するソーサリー。サーチできる色には制限がないので土地事故に対しても耐性をつけられ、なおかつ実質3点ゲインが付いてくるのは強力そうです。このカード以外にも食物トークン関連のカードは増えているので《大釜の使い魔》を活用したデッキは強化されていきそうです。
無色
魔法使の打ち上げ花火
魔法使の打ち上げ花火はタップ状態で戦場に出る。
(X) ,(T),魔法使の打ち上げ花火を生け贄に捧げる:望む色の組み合わせのマナをX点加える。魔法使の打ち上げ花火が戦場から墓地に置かれた時、カードを1枚引く。
タップ状態で戦場に出る代わりに、変換マナの量に制限がなくなった《彩色の星》。タップ状態で戦場にでるため、出たターンは即席のコストにできないですが、0マナで起動してドローを行うことが可能になっています。親和デッキでは《彩色の星》の代わりとしてデッキに投入されるかもしれません。
Lembas
《Lembas》が戦場に出たとき、占術1を行い、その後カード1枚を引く。
(2), (T), 《Lembas》を生け贄に捧げる:3点のライフを得る。
《Lembas》が戦場から墓地に置かれたとき、それをオーナーのライブラリ―に加えて切り直す。
2マナで、占術1から1ドローできるアーティファクトで、墓地に置かれるとライブラリーに戻るオマケ付き。
プリズムホークなどに採用される《黄金の卵》に近い能力を持っており、占術ができるという点で上位互換となっています。
また、検討されるデッキは親和でしょう。親和には強力なドロースペルがそろっているほか、2マナ枠である《胆液の水源》を比較するとアドバンテージ量は少なく感じられてしまいます。
まとめ
今回は、『指輪物語:中つ国の伝承』で登場するカードのパウパー目線で紹介していきました。
特に、《誕生日の旅立ち》や《指輪嵌め》など軽量の誘惑効果が既に発表されているため、これによってパウパーの環境がどう変わるのかが非常に楽しみです。
新たなカードが公開され次第こちらの記事も更新していくのでぜひTwitterをフォローしてチェックしてみてください。
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